11月全友会例会のご報告

2022.01.24
2021年11月24日午後6時30分より例会が開催され、「これまで手がけた労働事件・外国人事件について」をテーマに、指宿昭一先生(60期、第二東京弁護士会)によるオンライン講演が開催されました。指宿先生は、中国人研修・技能実習生、精神疾患に罹患した労働者の労働問題や入国管理局に収容された外国人問題等を手がけられ、そのご活躍は、昨年7月、米国務省から「人身売買と闘うヒーロー」に選ばれるなど広く世界にも報道されています。講演では、これまで指宿先生が手がけてこられた主要な事件についてご解説を頂きました。

三和サービス事件(津地裁四日市支部判平成21.3.18労判983号、名古屋高判平成22.3.25労判1003号)では、中国人研修・技能実習生の労働者性を肯定する司法判断を勝ち取られるとともに、未払賃金支払請求労働審判事件(岐阜地裁)では、その過酷な労働環境を明るみに出し、過労死事件(鹿児島労基署・水戸地裁)では、研修・技能実習生として初の労災認定(過労死)を受けるまでの経緯についてご解説頂きました。

また、退去強制事件を巡っては、オーバーステイの外国人夫婦から生まれた子の退去強制の可否を争ったフィリピン人中学生退去強制令書発付事件(東京地裁・東京高裁)、裁判を受ける権利の侵害の有無が問題になったスリランカ人一斉強制送還国賠請求事件(東京地裁・東京高裁)に加え、収容された外国人が医療措置を受けられずに飢餓状態で死亡し、現在社会的にも注目されている名古屋入管スリランカ人女性死亡事件についてもご解説頂きました。

この他、精神疾患に罹患した労働者の解雇の効力を争った日本ヒューレット・パッカード事件(最高裁平24.4.27労判1005号)、タクシー運転手の残業代が争われた国際自動車事件(東京地判平成27.7.16労判1114号、東京高判平成27.7.16労判1132号、最高裁平成29.2.28労判1152号、最高裁令和2.3.30労判1220号)、インドカレー店の労働者の賃金及び雇用の確保に尽力されたシャンティ倒産争議事件についてもご解説頂きました。

指宿先生は、講演の中で、外国人を労働力として安易に受け入れるのではなく、現地での活動実態が不明な監理団体等の存在や、借金をしてまで日本に来ているという外国人労働者の実態を考慮して受け入れなければならず、技能実習制度は廃止してより良い労働条件の制度を構築しなければならないとおっしゃっていました。また、名古屋入管スリランカ人女性死亡事件には日本における入管収容のあらゆる問題が集約しており、出入国在留管理庁の最終報告書は今回の事件の原因を職員の意識の問題等にすり替えて部分的に責任を認めたものに過ぎず、基本的人権という普遍的であるはずの価値が外国人に及んでいない日本の行政の現実を変えていかなければならないとおっしゃっていました。

外国人の人権保障の問題は、必ずしも労働事件や入管事件などの特定の分野の問題にとどまる問題ではありません。そして、指宿先生が手がけられた事件でも、必ずしも第一審で勝訴しているのではなく、第二審以降で逆転勝訴している件が複数存在していたことが個人的にとても印象的であり、今回の講演を通じて、第一審で諦めることなく、社会的正義の実現のために弁護士が粘り強く活動していかなければならないことを改めて認識いたしました。

ご多忙のところ、お時間を割いて頂いた指宿昭一先生には、この場をお借りして、改めて心より御礼申し上げます。  

                         (63期 西ヶ谷 尚人)

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