PROFILE
副会長(2019年度)
常議員(1997年度・2010年度・2020年度)
子どもの権利に関する委員会委員長(2008年度)、刑事弁護委員会委員長(2021年度・2022年度)、財務委員会委員長(2024年度)、総務委員会委員長(2025年度)
常務理事(2019年度)
弁護士推薦委員会委員長(2021年度)
POLICIES
弁護士の使命は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することにあります(弁護士法1条1項)。人権擁護活動は、弁護士の根源的な責務です。
弁護士と弁護士会は、これまで被疑者・被告人、子ども、高齢者、障がい者、消費者、外国人、犯罪被害者など弱い立場に置かれがちな人たちの権利を守る活動を行い、全ての人が公平に安心して生活できる社会を実現するために貢献してきました。弁護士の援助を受けることができない人たちが未だ存在する中、弁護士会は、これからも委員会活動等を通じて人権擁護活動をより充実させていく必要があります。
また、国際秩序が大きく揺らぐ中、日本国憲法の立憲主義の理念の重要性は増しています。立憲主義が堅持されるからこそ、様々な違いを持つあらゆる人が個人として尊重され、それぞれの幸福を追求する生き方が可能となります。基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士と弁護士会は、立憲主義を堅持し、その理念を実現するという重要な役割を担っています。
被疑者・被告人の権利は、刑事手続が苛烈な人権侵害を引き起こしてきた歴史の反省に基づき、憲法が詳細な規定を置いています。
えん罪は、国家による極めて重大な人権侵害であり、えん罪を防止することは弁護士の重大な責務です。再審手続の見直しについては、現在、法制審議会において審議が進んでいますが、議論の方向性は予断を許しません。えん罪被害者救済のため、検察官に対する広範な証拠開示命令や再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止等を内容とする改正を実現するため日弁連とともに取り組んでいきます。
無罪主張や黙秘をする被疑者・被告人が長期間にわたり勾留される「人質司法」の問題も深刻であり、勾留・保釈の運用の改善や刑訴法の改正に向けた取り組みを行なっていきます。
被疑者・被告人に関するその他の課題は、後の「刑事司法」において述べます。
子どもは、独立した人格をもつ権利の主体であり、全ての子どもが将来にわたり幸福な生活を送ることができる社会が実現されるべきです。
子どもを取り巻く問題は、いじめ、体罰、虐待、少年事件など多岐にわたります。当会は、これからも子どもSNS相談(LINEによる相談)やいじめ予防授業等の活動を継続して推進するとともに、児童相談所への弁護士配置、スクールロイヤーの整備、学校問題ADRの活用等に取り組んでいきます。
また、2026年4月には離婚後の選択的共同親権制度が施行され、実務に多大な影響を与えますが、子どもの最善の利益を確保するため、会員に対する研修及び関係機関との協議等を行っていきます。
高齢者、障がい者が安心して尊厳のある生活を送るためには、医療、福祉、消費者契約など様々な場面において、特性やリスクに応じて安全に配慮し意思決定を支援することが大切です。
当会が全国の弁護士会に先駆けて設置した「ゆとり~な」(高齢者・障がい者総合支援センター)におけるホームロイヤー・財産管理や身上保護に関する法律相談、病院における法律相談や、自治体・外部団体との連携強化等を行っていきます。
成年後見制度については、本人の尊厳にふさわしい生活の継続等を図る観点から法改正の議論が進んでおり、本人の意思を十分に踏まえた柔軟な制度運用の実現に向けて取り組んでいきます。
あらゆる分野において性別に関わらず平等に権利や機会を得られる社会を実現するために(憲法第14条)、これからも当会が後援する「女性による女性のための相談会」等、男女平等を推進するための活動を行っていきます。
性自認や性的指向は、人格の核心にかかわる事項であり、全ての人が互いに人格と個性を尊重しあいながら生活できる社会を目指して、同性婚の法制化に向けた取り組みを含めて、性的少数者の権利を擁護するための活動を行っていきます。
我が国の外国人を取り巻く環境に関しては、入管収容施設における権利侵害、難民認定制度の課題、国籍を理由とした差別やヘイトスピーチによる被害等が問題となっており、外国人労働者の受入れの議論においても外国人労働者の権利保障の観点は十分とはいえません。
外国人の法律問題に対応する会員向け研修の充実や外国人のための無料法律相談会の実施など、差別のない社会を実現するための活動を続けていきます。
消費者と事業者との間には情報の質・量、交渉力に構造的な格差があり、誰もが不利益を被ることなく安心して豊かな消費生活を営める社会とするために、弁護士がすべきことは数多くあります。
悪質商法、SNS型投資詐欺、特殊詐欺等による被害を予防・救済するため、市民に対しては消費者教育の推進に向けた活動やオンラインを含む法律相談等を実施し、会員に対しては情報提供や研修等を充実させます。
ロマンス詐欺事件等については、被害者の救済を謳いつつも実質的な活動を行わないという弁護士による二次被害の問題が生じていますが、弁護士の信頼をも失わせる深刻な事態であり、弁護士会において積極的かつ厳正に対応していきます。
労働者は、使用者に対して弱い立場にあり、公正で良好な労働条件のもと人間らしい働き方ができる社会を実現するために、労働者の権利を保護する必要があります。貧困に苦しみ健康で文化的な最低限度の生活(憲法第25条)を維持できない人や尊厳のある生活を維持できない人が抱える問題は、極めて深刻です。
こうした人たちに弁護士の力を届けるため、労働法制や社会保障制度の調査・研究や法律相談の実施、ひとり親家庭の支援や子どもの教育に関する支援等、労働者や失業者の権利を保障し、貧困問題の解決に向けた取り組みを行っていきます。
犯罪被害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有しています。総合法律支援法の改正(2024年)により、被害者支援弁護士制度が創設され、2026年1月の施行を経て、犯罪被害者やその家族が刑事・民事・行政等の手続について弁護士による支援を受けられるようになり、また、2026年3月には第5次犯罪被害者等基本計画が閣議決定される予定です。
犯罪被害者の置かれている状況を十分に理解し、報道機関やSNS等による二次被害の防止、犯罪被害者の精神的被害及び経済的被害の回復、社会生活の再建に必要な支援を関係機関と連携して行っていきます。
民事介入暴力は、民事紛争事件における暴行、脅迫、迷惑行為の行使を示唆する一切の言動や権利の行使または実現の限度を超える一切の不相当な行為を指します。その行為者は暴力団員に限定されておらず、相手方の属性ではなく行為の実態に着目して対応していく必要があります。
暴力団による民事介入暴力は減少傾向にありますが、覚醒剤や特殊詐欺等の問題事案は依然として存在し、民事介入暴力の被害防止及び被害回復に向けた活動を行っていきます。
当会は、市民の人権救済申立てを受けて、人権侵害の有無を調査し、必要に応じて行政庁等の相手方に対して警告・勧告等の措置をとっているほか、公益的意義を有する人権侵害事件を担当する会員に対して弁護士費用等の援助を行う「人権救済基金」という制度を設けています。
当会は、これからも人権救済申立事件の誠実な審査を継続し、様々な新しい人権問題について調査・研究を深めるとともに、人権救済基金の積極的な活用を促して人権侵害事件の解決に携わる会員の活動を支援し、全ての人が個人として尊重される公正な社会の実現に向けて取り組んでいきます。
法教育は、法律専門家ではない人たちが法や司法制度の基礎となる価値を理解し、法的な考え方を身に付けるために行うものであり、未来の社会を担う子どもに対する法教育は特に、個人が尊重される自由で公正な社会を築くために重要です。
当会が学校に弁護士を派遣して行っている学習会や中学生・高校生を引率して行う裁判傍聴とその解説、模擬裁判等を題材として行っている体験型授業(ジュニアロースクール)等は、法教育活動として重要であり、当会が行う企業や団体向け講師紹介も含めて、法教育をさらに普及していきます。
日本国憲法は、個人の尊重を基本的な価値とし、この価値を守るために、国民主権を基礎として、基本的人権を保障し、権力分立の原理によって統治機構を定め、恒久平和主義の理念を掲げています。
国際秩序が大きく揺らぎ、法の支配の意義が問い直される中、日本国憲法の立憲主義の理念の重要性は増しており、全ての人が個人として尊重される社会を実現するために、立憲主義を脅かす事態には毅然として対応する必要があります。いわゆる安全保障関連法は、個別的自衛権のみ認められるとしてきた政府見解を変更して集団的自衛権を容認しましたが、立憲主義の理念に抵触するといわざるを得ません。
立憲主義を堅持するためには、市民に向けて憲法の意義や立憲主義の重要性、憲法に関わる問題等をわかりやすく伝える活動が重要となります。
弁護士会が社会の役に立つ活動を行うとともに会員サービスを向上させるためには、より多くの会員が会務に参加し、その多様な意見を会務に反映させていく必要があり、組織としての魅力と持続可能性を高めるためにも、会員の多様な働き方やライフステージを踏まえて、参加方法や活動内容、広報のさらなる工夫等、会員が弁護士会の活動に主体的かつ積極的に参加できる環境を整備していくことが求められます。
当会は、2007年1月、全国の弁護士会に先駆けて、第二東京弁護士会男女共同参画基本計画を決議し、現在は、第4次第二東京弁護士会男女共同参画基本計画において、女性会員割合の増加に向けた取り組み、当会の政策・方針決定過程への女性会員の参加のさらなる推進及びジェンダー平等の確立について具体的な目標・アクションを定め、当会における男女共同参画とジェンダー平等の推進を図っています。
今後も、同基本計画に基づき具体的な施策を進め、性別にかかわらず多様なライフスタイルがあることを前提として、より働きやすく会務に参加しやすい施策の拡充を目指すとともに、2027年4月から適用される第5次第二東京弁護士会男女共同参画基本計画を策定するため充実した議論を行っていきます。
若手弁護士については、総体として会務参加が必ずしも十分とはいえない状況にありますが、弁護士会の活動が停滞するようなことになれば、弁護士自治を維持することさえ困難となり、人権が尊重される公正な社会の実現が遠のくことになりかねません。
当会としては、若手会員の意見や要望を的確に把握した上で、弁護士と弁護士会がその使命と職責を全うすることにより社会に貢献する意義とやりがいや会務活動の魅力を伝え、弁護士の使命に相応しい公益活動や弁護士会活動への主体的・積極的な参加を促すため、新規登録会員に向けたクラス別研修や若手会員に向けた研修を充実させ、登録10年目までの会員で構成されるNIBEN若手フォーラムの活動を活性化し、各委員会との連携を強化して若手会員の活躍の場を広げるなどの取り組みを行っていきます。
当会の嘱託弁護士は、調査室、広報室又は業務支援室等に属して当会の特定の職務を行っていますが、嘱託弁護士制度を活用することは、委員会活動の活性化と職員業務の効率化・合理化を図るとともに、若手弁護士の会務参加を促す意義を有しています。
当会の弁護士と当会の魅力ある活動を発信することは、弁護士と弁護士会が社会において果たしている役割への理解を深め、当会に所属する会員の会務参加を促すとともに、当会の会員数の増加や法曹志望数の増加にもつながる重要な活動です。
組織内弁護士は、企業や官公庁等の組織内で法律の専門家として活躍し、法の支配を社会の隅々に浸透させるために重要な役割を果たしています。
当会は、組織内弁護士の活動を通した法の支配の浸透と弁護士自治の堅持を目的として、全国の弁護士会に先駆けて、2020年3月、日本組織内弁護士協会(JILA)と連携協定を締結しています。
同協定の目的を達成するため、同協会と意見交換等を行い、組織内弁護士の意見を尊重しつつ、弁護士会の求心力を高める方策を協議し、組織内弁護士が社会で活躍し、組織内弁護士向けの研修・広報の充実や公益活動の在り方、弁護士会の活動に参加していくための具体的な施策等を進めていきます。
東京三弁護士会多摩支部は、東京都の約3分の2の面積を有し、東京都の人口の約3分の1にあたる約430万人が暮らす多摩地域の市民のため、法律相談事業や国選事件への対応等の様々な活動を行っています。
同多摩支部は、現在、多摩地域に事務所を有する会員が当然に多摩支部会員になる制度となっていませんが、多摩地域の弁護士の意見を踏まえて同制度への変更に向けた取り組みを行うとともに、多摩地域の若手会員の会務参加の促進、本会の支援を受けている刑事事件や後見事件の受任体制の改善等、多摩地域の司法サービスをより充実させるための諸課題に取り組んでいきます。
多様な弁護士がそれぞれの意欲と関心に応じて幅広い領域で活躍することは、法の支配を社会の隅々に及ぼすために不可欠です。
近時の社会の急激な変化は、弁護士業務の在り方にも大きな影響を与えており、当会として、弁護士の活動領域の拡大や民事司法、刑事司法の課題の解決等に向けた取り組みを行い、幅広い業務内容や経験年数等に応じた研修の充実・強化等により、弁護士の本質的な価値の維持・向上をはかり、司法アクセスの改善及び市民サービスの拡充に向けた活動を行うなど、一人一人の弁護士が社会で活躍する基盤を整備していきます。
弁護士の活動領域を拡大し、弁護士が社会の様々な分野で幅広く活躍することは、法の支配を社会の隅々に広げ、公正な社会を築くために重要です。
社会の動向や幅広い弁護士の要望等を把握しつつ、企業内弁護士、国や自治体の任期付き公務員、社外役員、立法分野への人材輩出等を推進し、他士業・他業種との連携を深め、自治体業務への協力や中小企業のサポート等を行い、弁護士を活用しやすくするための弁護士費用保険の拡大・普及に向けた活動を行うなどしていきます。
①民事裁判手続等のIT化については、2026年5月までに訴状等のオンライン提出や訴訟記録の原則電子化等が行われる予定です。家事手続や民事執行・民事保全手続等のIT化も進む中、会員が円滑に対応するため、幅広い世代の会員にとってわかりやすく実践的な研修や広報等の施策を講じていきます。
②当会は、都内各所に設置した法律相談センターにおける法律相談や自治体その他の団体と連携して行う法律相談を実施して、市民の司法アクセスの向上に努めています。相談者の知識や情報量が増加し、オンラインやSNSなど相談方法も多様化している中、より正確な法的知識と専門性を得るための研修を充実させるとともに、市民のニーズに応じた法律相談体制を検討していきます。
③当会が全国の弁護士会に先駆けて設立した仲裁センターは、柔軟かつ簡易迅速に紛争を解決してきました。2020 年に開始した「フリーランス・トラブル110 番」も、その利用が拡大しています。ODR(オンラインによる紛争解決)への関心も高まる中、引き続き紛争解決を通じた市民サービスを提供していきます。
④当会が全国の弁護士会に先駆けて設立した東京フロンティア基金法律事務所は、社会的、経済的理由から弁護士による法的サービスを受けることが困難な事件を数多く受任して解決するとともに、司法過疎地に多くの弁護士を送り出してきました。
近時は、司法過疎地域への赴任を希望する若手弁護士が減少傾向にあり、弁護士の過疎・偏在が全国的な課題となっています。東京フロンティア基金法律事務所が果たす役割は重要性を増しており、司法アクセスの改善に貢献するために適切な支援を続けていきます。
⑤日本司法支援センター(法テラス)は、民事法律扶助業務、司法過疎対策業務、国選弁護関連業務、犯罪被害者支援業務、法律援助事業等を行っており、当会においては、法律相談センター(霞が関・蒲田)における法テラスの指定相談場所としての対応や国選弁護人名簿の提供等を行っています。
しかし、法テラスの弁護士報酬基準は、業務量に比して低額であるという問題があり、司法予算の増額要求等、日弁連とともに問題点の検討及び改善に取り組んでいきます。
①弁護士の憲法上の責務である刑事弁護においては、被疑者・被告人の権利・利益を擁護するため、弁護士会において刑事弁護の質の維持・向上に向けた取り組みを行うことが不可欠です。
今後も法改正への対応や法廷弁護技術を含む研修をさらに充実させていくとともに、不適切な国選弁護活動に対しては、国選割当停止の措置も含めて適切に対応していきます。
裁判員裁判については、直接主義・口頭主義に基づく裁判に対応できる専門性の高い弁護人を育成するとともに、裁判員が刑事司法に参加する意義を広報するなど裁判員が主体的、実質的に参加するための取り組みを行っていきます。
当番弁護士・国選弁護人の担い手不足が全国的な課題となっている中、当会においても、研修や広報等を行うとともに、刑事弁護活動に見合う報酬とするため、国選弁護人の報酬の改善に向けた活動や当会における援助金の対象範囲の拡大に向けた検討を進めていきます。
刑事弁護は、人権感覚を磨き、交渉や尋問、弁論の技術を向上させるなど、法律の専門家に必要な汎用性の高い能力を高めることができます。当会は、新規登録弁護士研修として経験ある弁護士のアドバイスを受けながら国選弁護事件を受任して弁護活動を行う研修を用意しており、新人弁護士には意欲的に受けてほしいと考えていますし、刑事弁護にやりがいを見出し、当番弁護士・国選弁護人の名簿に登録する若手が増えることを期待しています。
②刑事手続のIT化を進める改正刑事訴訟法は、2027年3月までに施行される予定であり、申立てや証拠開示、書面の授受等の刑事手続の重要部分において電子データが利用され、Web会議方式による打合せ期日、公判前整理手続期日等が導入されます。
刑事弁護の実務に大きな影響を与える改正であり、市民の権利・利益が害されることのないよう適正な運用に向けた取り組みを行うとともに、全世代の会員に向けた研修や広報等を行っていきます。
③弁護士会において、刑事司法の改善に向けた取り組みを行うことも重要です。
既に述べた冤罪の防止、人質司法の解消に向けた取り組みのほか、被疑者の取調べの適正化を図るため、全事件における取調べの全過程の録音・録画、弁護人を取調べに立ち会わせる権利の確立、オンライン接見等の実現に向けた取り組み等を行います。公判前整理手続の長期化等の課題については、裁判所、検察庁と協議しながら解決を目指し、証拠開示の拡充等に向けた取り組みを行っていきます。
弁護士会が会員の専門性を高めるため研修を充実・強化すべきことは、弁護士会の会員に対する基本的な責務です。
社会が複雑化し、法改正が続き、弁護士の活動領域が拡大する中、会員が法律の専門家として社会で活躍していくために、幅広い業務内容・経験年数等に応じた研修を充実・強化し、多様な会員がそれぞれに魅力を感じる研修を用意する必要があり、新規登録弁護士を対象とするクラス別研修、倫理研修、基礎的な研修、専門分野に関する研修やAIの適切な利活用等の先端的な研修等に力を入れていきます。
当会は、台北律師公會等と相互の弁護士を紹介する制度を立ち上げるなど、当会の弁護士が海外において法的支援を行うことができる環境を整えるとともに、国際業務に関するセミナー等を行ってきました。今後も、ソウル弁護士会やシンガポール弁護士会等の友好協定を締結している海外の弁護士会との交流及び情報交換を進め、当会の弁護士への還元を図っていきます。
弁護士が人権の擁護と社会正義の実現という使命を持続的に果たしていくためには、有意な人材が法曹を志望する必要があり、法曹養成制度を実効的に機能させていくことが求められます。
2020年に法曹コースが設置され(いわゆる「3+2」制度)、2023年から法科大学院在学中の司法試験受験が可能となり、法曹資格取得までの期間が短縮されました。法科大学院の志願者数は増加傾向にありますが、社会の幅広い要望と信頼に応える多様な人材を継続的に輩出していくために、当会としても、法科大学院、司法試験、司法修習を含む法曹養成制度に関する検討を深め、司法修習生に対する指導、法科大学院生に対する講演活動、中高生や大学生等の次代を担う若者に法曹の魅力を発信する活動を行うなど、法曹養成に積極的に取り組んでいきます。
弁護士会が、綱紀・懲戒制度を適切に運営していくとともに、会員に寄り添い、課題を抱えた会員をサポートするなどして不祥事を未然に防ぐことは、弁護士に対する社会の信頼ひいては弁護士自治を維持するために必要な活動です。
弁護士倫理は、弁護士が依頼者や社会の信頼を維持するために不可欠ですが、個別具体的な案件に応じてその判断が容易ではないこともあります。当会は、弁護士倫理について照会・相談したい案件が生じた場合の事前照会制度・倫理相談員あっせん制度を用意しています。
様々な原因により心の不調を感じた会員には、日弁連メンタルヘルスカウンセリングに相談することができます。
即時又は早期に独立開業した若手会員等に対しては、事件処理や事務所の経営等について指導を行いOJTの機会を提供する指導担当弁護士制度があります。
急病時や繁忙期に利用し、あるいは受任したことのない専門分野の案件を協力弁護士がサポートする協力弁護士推薦サービスの制度も用意しており、法律事務所の承継の問題も含めて先進会員の要望を把握していきます。
今後もこれらの制度をさらに活用し、きめ細やかに会員を支えていきます。
弁護士会が有する弁護士に対する懲戒権は、弁護士自治の根幹です。
綱紀・懲戒制度を適切に運営していくべきことは勿論、当会の弁護士職務適正化対策室の活動を充実させ、会員の不祥事を未然に防ぐとともに不祥事による被害拡大を防止するため、会員の不祥事に関連する情報を集約・分析し、必要に応じて指導・監督するとともに、会員の不安に寄り添い、不祥事を防ぐための体制を整備していきます。
会員が自らの職務に専念できる環境を整備するため、非弁護士行為や非弁護士との提携行為を防止し、弁護士を利用する非弁業者に関する情報の収集及び対応を強化し、会員に対する周知や会立件、事前公表制度の適切な活用を視野に入れた取り組みを行います。
弁護士業務を妨害する行為や弁護士業務をマネー・ローンダリングに利用する行為から会員を守る体制を強化する活動等を行うことも重要であり、弁護士の職務の適正を確保するため、依頼者の本人確認及び記録保存等に関する年次報告書の提出を全会員から受けるための措置を講じていくことは、弁護士自治の観点からも必要となります。
当会が、約7000人という多くの会員の活動を支え、社会のために活動していくには、限りあるリソースを有効に活用し、会務運営を合理化・効率化する必要があります。
事務局の活躍と協力は、弁護士会の活動に不可欠です。
当会は、会員数の増加及び職員の業務量の増加等を受けて、2025年度に職員の定員を58名から70名に増加しました。今後、人材の適正配置と職務内容の一層の合理化を推進するとともに、より働きやすい環境を目指し、IT化の推進・AIの利活用、役職制度の在り方の検討等を進めていきます。
また、当会は、定期総会の承認を得て基幹システムの改修を進めているところであり、サービスイン後は、IT化の推進により会務が合理化され、職員の業務の効率化・合理化が図られることが見込まれますが、それまでは事務局職員が通常業務に加えて改修作業に従事していることを考慮し、職員の職務が過重とならないよう配慮することが求められます。
当会の財務については、会員の意見をより適切に反映し、使途の適正化に配慮するなど、財政の健全化を図っていきます。また、次年度予算の定立にあたっては、会務活動を過度に制限しないよう十分な配慮を行いつつ、会員数が増加傾向にあることも踏まえて、過年度の支出実績を踏まえることを心がけます。
当会が行う広報は、司法アクセスを改善し、弁護士の活動領域を拡大し、憲法の意義や立憲主義の重要性を主権者にわかりやすく伝え、弁護士の魅力を発信して当会の会員数や法曹志望者数の増加につながるなど、多様な意義と目的を有する重要な活動であり、費用対効果を考慮しつつ積極的に活動していくことが求められます。
災害への対応と準備については、被災者の支援及び弁護士会の災害時の業務継続の観点から、災害時共助協定を締結している新潟県・熊本県・兵庫県の三弁護士会との連携強化、行政や他士業との連携強化等を図るとともに、首都直下地震等の災害発生時における当会の業務継続計画(BCP)の継続的な点検、弁護士会館における防災備蓄の更新など、当会の業務を安定して継続するための備えを十分に行っていきます。
地球環境の保全は、人類に共通する重要な課題です。当会は、KES(京都環境マネジメントシステム)を導入し、持続可能な社会の形成に向けて環境負荷の少ない組織体づくりに取り組んでおり、これからも当会の業務から生ずる環境負荷の低減に向けた取り組み等を続けます。
弁護士会の取り組むべき課題は、以上に尽きるものではありません。
私は、100年に及ぶ当会のこれまでの歴史と実績を踏まえて、この社会を少しでもより良くするために、誠心誠意、会務に精励する所存です。
水上洋選挙対策本部
発行責任者:選挙対策本部長 神田安積